103万の壁とは?学生だけが気を付けておけばOK!

投資の知識

ここ最近「103万の壁」というキーワードがニュースで飛び交っていますが、みなさんはこの「103万の壁」についてどれくらい理解しているでしょうか?

ブログ主は何となくは知っていましたが詳しくは理解しておらず、この機会に調べてみたので、調べて分かった「103万の壁」の事実を本記事で記載していきます。
少し長めの記事になってしまいましたが、無駄にはならない知識になると思いますので、ぜひ読んで頂けたらと思います。

みなさんの資産形成や働き方を考える手助けになれば幸いです。

実は2つの意味がある「103万の壁」

「103万の壁」とは年収が103万円を超えると税金が発生!という税金が発生するかしないかの基準の金額を示しているのですが、実は2つの意味があります。それは以下の通りです。

 (A)自身の収入に対して所得税が発生する
 (B)親の扶養控除が減る=親の所得税が増える(学生アルバイト等の場合に限る

ブログ主はこれを調べるまで(B)は知りませんでしたが、実際に気を付ける必要があるのは(B)のみ…と言っても過言ではないくらいの違いがありました。
ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

(A)自身に所得税が発生する

こちらは、年収が103万円を超えると自分の収入から所得税が差し引かれるという事です。
給料をもらって働く人には誰にでも当てはまり、一般的に103万の壁として扱われているのはほとんどがこちらの意味でしょう。

「所得税」とは?
私たちが稼いだ収入(所得)に対して掛かる、国が徴収している税金の事です。
所得税は、累進課税という制度で税金額が計算されていて、私たちの稼ぎが高ければ高くなるほど納める税金額が高くなる仕組みになっています。

もう少し詳しく解説していきますが、そもそも所得税は、まず「収入」から「所得控除」を差し引いた金額を算出し、そこに「所得税倍率」を掛ける事で算出されます。

 ( 収入 - 所得控除 ) × 所得税倍率 = 所得税

「所得控除」とは、子供を養っている人に発生する”扶養控除”や、配偶者を養っている人に発生する”配偶者控除”など、色々な種類があり、納税者の環境に応じて税金を抑えるための国の配慮です。
所得控除の全容はかなり複雑なのでここでは深く解説しませんが、給料をもらって働く全てに適用されるのが、”基礎控除””給与所得控除”の2つです。

基礎控除が48万円、給与所得控除が55万円なので、合わせて103万円が所得控除として差し引かれ、年収が103万円以内であれば差し引き後の金額はゼロなので、所得税倍率をかけても所得税はゼロ、という事になります。
逆に年収が103万円を超えると所得税が発生してくるので「103万の壁」と言われています。
実際にどれくらいの所得税が発生するのかは、所得税率によって変わりますが、このあたりはまた後で記載します。

ちなみに参考ですが、年収が上がると基礎控除と給与所得控除の控除額は変わってきます。
基礎控除は年収が0円~2,400万円までは48万円なのでほとんどの方は気にしなくて大丈夫ですが、給与所得控除は年収が162万5千円までが55万円で、162万5千円を超えると控除額は徐々に増えていきます。

(B)親の所得税が減る

続いては、学生のアルバイトなどで給与収入が103万円を超えると、親の所得税が増えてしまうという事です。

これはどういう事かというと、先ほど「所得控除」について説明しましたが、所得控除の中に”特定扶養控除”というものがあります。
特定扶養控除とは、19歳以上23歳未満、かつ、給与収入103万円以下(給与以外の所得がある場合は所得合計48万円以下)の子供を養っている親が、63万円の所得控除が受けられる、という制度です。

子供の給与収入が103万円を超えてしまうと特定扶養控除が無くなってしまい、(先ほども記載しましたが)所得税はこちらの計算式で算出されるので、控除が減ってしまうと所得税が増えてしまいます。

 ( 収入 - 所得控除 ) × 所得税倍率 = 所得税

こちらの103万の壁は、少々複雑で見逃されがちですが、もし該当すると、(A)と比べてこちらの方がインパクトが大きいので、十分気を付けましょう。
実際にどれくらいの所得税が親に発生するのか、この後に記載していきます。

ちなみに、子供が1人暮らしをしていて、1人暮らし先に住民票も移している場合は、その時点で税制上は養っているとは言えない(扶養家族ではない)と判断され、扶養控除は無くなるので注意しましょう。
もう1つちなみに、16歳以上19歳未満や23歳以上70歳未満の家族を養っている場合は、特定ではなく通常の38万円の”扶養控除”、70歳以上を養っている場合は58万円の”老人扶養控除”が得られます。(老人扶養控除は同居でない場合も認められていてその場合は48万円の控除になる)

具体的にどれくらいの所得税が発生するのか?

では実際に年収が103万円を超えたとき、どれくらいの所得税が発生するのか見てみましょう。

「(A)自身に所得税が発生する」のケース

今回は例として、年収が113万円だったと仮定して計算してみます。

所得税を計算する際に重要なのが「所得税率」ですが、年収が高くなると所得税率も高くなります。
高収入の人からはたくさん税金を取ろうという、働く気を失いそうな仕組みですね。。。

年収が1000円~194万円9000円の範囲の場合、所得税率5%です。
ですので今回の例(年収113万円)では所得税率5%を先ほどの計算式にあてはめてみましょう。

( 113万円 - 103万円 ) × 5% = 5,000円

するとこの通り、徴収される所得税は5,000円、という事になります。
どうでしょうか?意外と少ないな…と感じませんか?

もちろん103万円までは所得税は一切取られないので、それに比べると働く効率は悪くなりますが、そこまで大きいインパクトではないように思います。
今後103万円の壁がどこまで引き上げられるか分かりませんが、仮に113万円まで引き上げられたとしたら、年収113万円だったときの手取りが5000円だけ増える事になります。

出勤日を減らしたり、シフトを調整して時間を抑えるなど、103万円を超えないように定期的に年収を計算し、年収額を調整する労力を掛けるくらいなら、その労力を働く(稼ぐ)時間にあてる方がむしろ効率的とすら思えてきます。

「(B)親の所得税が減る」のケース

こちらのケースでは、親がどれくらい稼いでいるか、特定扶養控除以外の所得控除がどれくらいあるか、などによって計算結果が大きく変わってくるので、その点を了承のうえご覧ください。

今回の例では、以下の状況だと仮定します。
・親の年収は500万円
・19歳以上23歳未満の子供1人を扶養している
・今回の計算で出てくる控除以外の控除(配偶者控除など)は受けていない

年収が500万円の場合、基礎控除は48万円で変わらず、給与所得控除はかなり上がり144万円(収入×20%+44万円)、特定扶養控除は子供の年収が103万円以内であれば63万円です。

所得税率は年収500万円の場合20%なので、計算式にあてはめるとこうなります。

★子供が年収103万円以内の場合
( 500万円 - 48万円 - 144万円 - 63万円 ) × 20% = 49万円

★子供が年収103万円を超える場合
( 500万円 - 48万円 - 144万円 ) × 20% = 61万6千円

子供の年収が103万円以内と超えた場合の差額は、12万円6千円になります。
12万円6千円も手取りが減ってしまう計算です。

冒頭伝えている通り親の年収などによってこの金額は増減しますが、(A)の自身の所得税に比べてはるかに大きい金額である事は間違いないです。

ニュースなどでは「103万の壁」を自身の所得税が発生し手当が減ってしまう基準金額として説明している事が多いですが、むしろ気を付けるべきは、親の扶養から外れてしまい、親の所得税が増えてしまう事のようです。

こういった事実があると、ニュースの情報だけでなく、自分で時間をかけて勉強した甲斐があったなと思います。(なんだか得した気持ちになりませんか?笑)

まとめ

本記事では、話題の「103万の壁」について解説してみましたが、いかがだったでしょうか?

年収が103万円を超えることで、自身の収入に対して所得税が掛かり手取りが減るだけでなく、親の扶養から外れることで親の所得税が増え、親の手取りが減ってしまう事が分かり、むしろ、親の手取りが減るインパクトの方が大きい事が分かりました。

逆に、既に扶養から外れている人は、年収が103万円を超えても自身の所得税が少し掛かるようになるだけなので、例えば家計の足しになるようパートで働く主婦の方などは、あまり103万円の壁を気にせず働いて頂けたらなと思います。

税金の世界は複雑で奥が深いので、分かりにくい記事になってしまったかもしれませんが、少しでも読んで頂いたみなさんの手助けになれば幸いです!

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